前回の記事では【トラディショナル・グリップ】にフォーカスしてお話をしてきましたが、今回は同じぐらい有名な他のグリップを簡単に紹介しながら、
結局自分には何が1番合っているのかをみなさんに考えていただけるような回にしていきたいと思います♪
バートン・グリップ
この奏法は、大変著名なヴィブラフォン奏者ゲイリー・バートンさん考案のグリップです。(気になる方はググってみてください♪)
持ち方の括りとしては、クロス・グリップの一種で、トラディショナル・グリップとよく似ています。
が、奏法による得意な分野がトラディショナルグリップとは大きく違いますので、
そんなところにも触れていきたいと思います。
まずは、持ち方から↓
バートン・グリップの持ち方
Step1.
トラディショナル・グリップ同様、マリンバの上にマレットを載せていきます。
ここまでは簡単♪
Step2.
まずは右手のマレットから。
外側のマレットを内側のマレットの上に乗せていきます。(左右2本ずつのマレットを1組として考えていきましょう。)
トラディショナル・グリップとの違いはここです↓
Step3.
先ほどと同じように左手側のマレットも同じ手順を踏んでいきましょう♪
これでトラディショナルグリップとはマレットの関係性の違うグリップになりました。
Step4.
両方の外側のマレットが内側のマレットの上に上がっていることを確認したら、中央まで持ってきてみてください。
ここからは前回と同様です。人差し指を立ててズボッとクロスしているマレットの上の接点に差し込んで自然に拾い上げていきます♪
Step5.
これで完成!!
構えてみると一見、トラディショナル・グリップとの区別はつきません。
ただ、普通に構えた時の幅はトラディショナルグリップに比べると若干広く感じると思います。
トラディショナル・バートンの違い
似ているようなこの2つのグリップですが、
マレットの上下が違うだけで何の機能が変わってくるのか。
これが今回の焦点です!!
機能が違わなかったらそもそも新しい持ち方として認可されるわけがないですからね。
解説していきましょう♪
パワー型?バランス型?
クロスグリップに分類される【トラディショナル・グリップ】・【バートングリップ】はどちらもマレット同士に接点を作ることによって大きな音を出せるように考案された奏法です。
基本両方ともパワー型。
よって、世界的にみて非力な(体特に手の小さいことを含む)アジア圏のプレーヤー(特に日本人)はクロスグリップの普及率が高いです。(もしくは、名前が基本っぽいから浸透している可能性もある)
ここはとても理にかなっています。
では、【トラディショナル・グリップ】と【バートン・グリップ】の両者でなにが違うかというと、独立性の高さ・それぞれのマレットの開きの強さの2点です。
結論から言うと、バランス型=バートン・グリップです。
ある程度力も出るし、手もよく開く。
そもそもバートン・グリップでおなじみのバートン氏、
マリンバプレーヤーではなくヴィブラフォンプレーヤーです。
ここでは、混同しないようにマリンバを演奏する上で、という前提でお話をしていきますが、早弾きする上でそれぞれのマレットの独立性の高さと言うのは、マリンバ奏者にとって最も大事なところ。
ここは大切なところなので説明をしていきますが、
バートングリップは握った時に片手に握りこんでいる2本のマレット同士が影響を受けづらいのです。
この秘密が、先ほどの持ち方講座で触れたどちらのマレットのがどちらのマレットの上にくるかというところなんです。
バートンの場合は手のひらの中で、内側のマレットが必ず外側のマレットの下に来ているので、内側のマレットだけを動かそうとした時にマレット同士が妨害しないというところ。
それに対してトラディショナルグリップは、マレットの位置が逆なので影響を受けます。
が、逆にそれが力の乗りやすさ・重みの伝えやすさにつながるわけなのです。
マリンバは演奏をする上で、その大きな図体を生かして力強い演奏を求められることが当然あります。
上記2つのクロスグリップは、クロスしたマレットの柄で二本のマレットの支えを作り出し、力を効率よく楽器に伝えるためのテクニックなのです。
ケースバイケースで強みが違う
ちょっと写真を見てみてください。
これはトラディショナルグリップで、片手に持っている2本のマレットを極限まで広げている様子です。
ギリギリ1oct.開いているのがわかりますか?
次にバートングリップで同じことをやってみます。
10度(ド〜上のミ)ぐらい開いています。
同じように開いているのですが、左側のマレットが逃げないように右側のマレットが重なっているため、手のひらの中でロックされるので、広げるのに抵抗がないのです!!
よってこのバートングリップ、手の小さい男性・女性にとっては最強の持ち方になります。
で、ここまで上げると最終的にバートン・グリップにしたほうがいいじゃん!
と言われてしまうところなのですが、
その代わり、力は分散してしまうので楽器に対する力の伝導率でいうとトラディショナル・グリップに軍配が上がる。
そこで難しいのがマリンバという大きい楽器を演奏していく時に本当にバートングリップで十分に楽器を鳴らせるの?
というところです。
機能的な問題では僕も100%バートンが良いと思うのですが、マリンバの鍵盤の芯の音を鳴らすのに、少し物足りなさを感じてしまう。
これがヴィブラフォンとマリンバの楽器の構造上の問題で「それぞれの楽器に対する相性」という問題につながってしまいます。
マリンバはある程度の力をもって演奏しないとトレモロでもしていない限り、自然減衰してしまう楽器です。(いわゆるロングトーンができない楽器ということ。)
これに対してペダリングで音を自在に操れるヴィブラフォンはここを考えなくて良い。
なのでここは考察ですが、ある程度軽いタッチになるように過度な力を抜いた奏法こそが、バートン・グリップなのではないか?
と思うわけです。
マリンバを4本マレットで演奏していく上で、重音を演奏することも当然出てくるので、
この重音の充実感はトラディショナル・グリップのマレットの一体感が充実感につながっていくが、独立性という点では、バートンに軍配が上がる。
ここには大きく好みの問題も出てくるでしょうから、
特にどちらでなければならない!!
ということは言及しませんが、機能に合わせて柔軟に選んでいいんだ!!
と思っていただけたらこれ幸いです。
おまけ(超絶おすすめグリップ)
先生がこのグリップの専攻だったら必ずこれにしてほしいというのが、(特に男性)この持ち方。
スティーブンスグリップ
今日紹介するものの中で唯一交差させないノンクロス・グリップ!!
L.H.スティーブンス氏考案推奨のグリップ。(興味があったらググってみてください♪)
これは僕も多少は勉強しましたが、音色が抜群に良いのがこのグリップです。
体を大きく使うことと、マレットを最も長く持てることから、圧倒的に音色が違います。
その代わり、力強さと繊細さを持ち合わせないと演奏することが難しい。
海外では一般的なグリップです。
ここでは右手の持ち方だけ♪
Step1.
もういきなり厄介なのですが、薬指と小指にバチを乗せて、その他の指は自由に使えるようにしておきましょう♪
Step2.
握ります。
Step3.
ちょっとわかりづらいのですが、手のひらに垂直にもう1本のマレットを立てて人差し指親指で支えます。
Step4.
完成です。腕からマレットが生えているような感覚で演奏できるので、1番感覚的にマレットを一体化させることができる奏法です。
重さが伝わりやすい上にクロスしていない分、独立性も高い!!
ですが教えられる先生が少ない!というのが現状ですね〜。
僕自身もこのスティーブンス・グリップの良さから自分の持ち方であるトラディショナルグリップに還元・改良することというのが、最終的に到達したところでした。
まとめ
今回はマニアックな回で長くなりましたが、皆さんのこれからの4本マレットライフに大きく関わるところとなりますので、しっかりチェックしてみてください。
少しまとめておきましょう。
- 2本のマレットの重みが最も乗りやすい
- 重音の響きがしっかり鳴る
- 楽器の発音が良い
- 独立性に難あり
- マレット同士を広げづらい
- 程よく力が乗る
- 独立性が高い
- マレット同士を広げやすい
- 独立性に対して重みが乗りづらい
- マリンバを演奏する上で芯の音を出すのが難しい
今回はここまで♪
マリンバ上級編は、今後4本マレットのエクササイズからスタートしていきたいと思います!!
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